絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜

「あの……長崎さんのことはいつから?」

 徳香が聞くと、修司は照れたように目を背ける。

「実は、彼女がサークルに入ってきた時から気になってたんだ。これは言っていいかわからないんだけど、好きだった先輩に雰囲気が似てるんだよね。でもそれだけじゃなくて、長崎さんってちょっと抜けてるところがあってさ、そこがまた可愛いというか……」
「そんな前から……。なのにどうして告白しないんですか?」
「……やっぱり怖いんだよね。自分から好きになった人に告白してフラれたのが、ちょっとトラウマになっててさ。だったら自分を好きになってくれた人と付き合う方が、無駄な心配をしなくて済むんじゃないかって思っていたはずなのに、気持ちに嘘はつけない。ごめんね、すごく自分勝手な考えだよね」
「いえ……」

 そうか。笹原さんは長崎さんの気持ちに気付いていないんだーーあんなに近くでお互いを見て、気にしているのに、どうして好きな人のことはわからないんだろうか。

 修司は徳香に向かって頭を下げた。

「小野寺さん、こんな俺のことを好きになってくれてありがとう」
「そんな! 本当はもう結果はわかりきっていたんですけどね。ちゃんとケリをつけなきゃと思って、私の独りよがりです……。ただ現役の当て馬として最後に言わせてください」

 もう二人きりで話すことはないだろう。だからこれが最後の言葉になるはずだ。

「私をフってるんですから、ちゃんと長崎さんに想いを伝えてください。じゃないと私の想いが報われないですから」
「うん、そうだよね。そろそろケジメをつけないとね」

 大丈夫ですよ。笹原さんの想いは、今度こそ報われるはず。でも癪だからそんなことは言わないけどーー徳香は精一杯の笑顔を浮かべる。

「頑張ってくださいね!」
「ありがとう」

 こうして徳香の恋の終止符は打たれたのだった。
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