絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
* * * *

 二人は店を出ると、駅までのわずかな距離を並んで歩いた。

「サークル、俺がいると参加し難いかな?」
「そんなことないです! というか、私は笹原さんと違ってバスケを楽しみに行ってたわけじゃないし……だからいつも通り接してください。私の方がバスケに飽きてやめちゃうかもしれないし」
「……本当に小野寺さんっていい子だよね」

 徳香は思わず苦笑いをし、苦しくなる胸をグッと手で押さえた。

 その言葉は今の私には辛すぎる。どうせ良い子止まり。あなたの中でそれ以上にはなれないんだからーー。

「ありがとうございます。じゃあ私はこっちなので……」
「うん、じゃあまた次のサークルの時に」

 手を振り合い、逆の方向に歩き出す。徳香は後ろ髪を引かれて振り返ってみたが、もう彼の姿はなかった。

 そりゃそうか。笹原さんは私のことを何とも思ってないんだもんーーコインロッカーにしまった荷物を取りに行き、ずっしりと肩に降りかかる重さに更にダメージが大きくなる。

 その瞬間、涙が溢れてきた。好きな人に受け入れてもらえなかった……ずっと堪えていた悲しみが一気に溢れ出る。

 下を向いてゆっくりとぼとぼ改札までの道を歩いていると、仕事帰りの人の波の中で向かい側から歩いてくる人とぶつかってバランスを崩し倒れそうになった。しかしすぐに誰かの腕に抱き止められる。

「あっ……す、すみません!」

 徳香は慌ててバランスを整えると、抱き止めてくれた人物を見て驚きの声をあげた。

「信久……何でここにいるの……?」

 初めて会話をした時のようにスーツ姿の信久が、心配そうに徳香の肩を抱いていた。
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