絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜

「ありがとう、信久。なんか嬉しい……辛い時に一緒にいてくる誰かがいるって幸せだなって思う。一人で乗り越えれば、人としてひと回り大きくなったかなぁとも思うけど、分かち合える人がいるっていいな……」
「ふーん……」
「だから信久が辛い時は私がたっぷり慰めてあげるからね」

 徳香がそう言うと、信久はどこか寂しそうに笑った。

 あれっ……なんか前にもこんなことがあった気がするけど、いつだったっけーー頭を巡らせてみたが、なかなか思い出せない。

「そういえば今日はどうする? もう慰めなくていいなら帰るけど。まぁどちらにしても着替えたいから一度帰るけどね」
「……二日も連続で信久に迷惑はかけられないからな……」
「別に迷惑ではないよ。じゃあどこか行く?」
「……いいの? でも昨日早く帰るために、たくさん仕事を持ち帰っちゃったんだよね。とりあえずそれをやらないと」

 信久がいつもと変わらない様子で言うから、徳香もいつもの調子で返事をしてしまう。

「それって俺も手伝えること?」
「残念ながら、今回は子どもたちへの出席カードにメッセージを書かなきゃいけないから無理かな。ありがとう」

 本当は信久みたいな人が彼氏だったら楽なのかなーーでもお互い良い友達だし、彼には好きな人がいる。きっとこれくらいの距離感がちょうど良いに違いない。

「じゃあさ、夕飯一緒に食べようよ。それくらいなら終わってない?」

 そんなに心配してくれてるんだーー信久の優しさがなんだかくすぐったく感じる。

「たぶん終わると思うけど、いいの?」
「もちろん」
「じゃあ行く。そのためにも仕事頑張らなきゃ!」

 やる気になった徳香を励ますように、信久は背中をぽんぽんと叩いた。
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