絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
探し物は何?
 昨日は信久とご飯を食べてから、『心配だから』と言う彼に家まで送ってもらった。

 なんだか不思議な感じ。失恋して辛かったけど、信久がずっと一緒にいてくれたから、そのことをあまり考えずにいられた。

 それにしても、最近の信久はちょっとおかしい。というか、やけにスキンシップが多いのが気になる。何か長崎さんと良いことでもあったのだろうかーーそう思って首を横に振る。

 いや、そんなことはないか。だって信久には悪いけど、長崎さんは笹原さんが好きなはずだものーー余計なことを考えてしまったせいで、悲しくなって涙が出てきた。

 どうやったって、あの二人の想いに割り込むことは出来なかった。やはり徳香は徳香であって、杏にはなれないのだ。

 でもいつか信久に彼女が出来たら、こんなふうに私のそばにいてくれることもなくなっちゃうんだろうな……そんなのって寂し過ぎるーー何故か心がモヤモヤする。

 信久の恋を応援したいのに、どこかで彼女なんて出来なければいいって思ってる自分がいた。

 友達としては最低だし、自分勝手な考え方だとわかってる。でも徳香の中で信久の存在がそれだけ大きくなった証拠だろう。

 その時だった。徳香のスマホの着信音が鳴る。画面に表示された雪乃の名前を見て、ホッとしたように電話に出る。

「はーい、どうしたの?」
『あら、思ってたより元気そうじゃない。もっと落ち込んでいるかと思った』

 昨日告白することは雪乃にも伝えてあったため、心配して連絡をくれたようだった。

「意外と元気だよ。慰めてくれた友達もいたからさ」
『まさか……それって松重さん? 二人って本当に仲良しなのねぇ』
「っていうか、要件はそれだけ?」
『あっ、違うの! 次の土曜日なんだけど、友達に飲み会に誘われてね、誰か誘ってもいいって言うからさ、徳香もどうかなって思って』
「飲み会かぁ……。でも私、失恋したばっかりなんだけど……」
『だからでしょ! 失恋の特効薬は、新しい恋っていうじゃない。彼が何人か誘ってたから、男性陣も結構来るみたい。どう? 行かない?』

 新しい出会いか……でも今はまだそんな気にはなれないのが本音だった。でも気分転換にはなるかもしれない。

「うーん……まぁ行くだけ行ってみようかな……」
『よしっ、じゃあそう伝えておくね』

 本当はあまり乗り気ではなかった。でも雪乃なりの気遣いと思えば、断る理由は見つからなかった。
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