絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
「仕方ないね。また探そう! 先生も手伝うからさ」
その時、トカゲ探索隊とは別に、山を掘っていた男の子が徳香を呼ぶ。
「ねぇ先生、なんか黒くてふにゃふにゃしたのが出てきた」
「ん? 何かな?」
男児が彫った穴の中を覗き込むと、五センチほどの黒くて細長い生き物がうねっている。しかも頭は三角形。
それを見た徳香は喜びの声を上げた。
「すごーい! まぁくん、よく見つけたね! 先生もこの子に会うの、久しぶりだなぁ」
「えっ? これってなんなの?」
「これはね、クロイロコウガイビルっていうの。ヒルっていうけど、血は吸わないから大丈夫。でも毒はあるみたいだから、あまり触らない方がいいかも。ジメジメした場所が好きなんだよ。でも先生も久しぶりに見ちゃったなぁ。まだここにいたんだねぇ、なんか嬉しいな」
その言葉を聞いた途端、トカゲを探していた子どもたちも興味津々という様子で駆け寄ってくる。
「そんなに見つからないの?」
「うん、こんな近くにいるのに不思議だね」
「へぇ、すごいじゃん! トカゲは逃げられたけど、クロイロ〜なんとかは見つかったんだ!」
「でもジメジメした場所が好きなんだって」
「ってことは、この子はここでしか生きられないの?」
見つけた子に問われ、徳香は困ったように頷いた。
捕まえたいって言うかな。でもそうするとこの生き物は死んでしまう。
するとその子はクロイロコウガイビルに落ち葉をかけ始めた。
「じゃあこの子はこのまま埋めてあげよう。かわいそうだもんね」
その言葉に徳香の胸は温かくなる。
「そうだね。次に会うときにはもっと大きくなってるかも!」
「その時には俺たちも小学生になってるかもよ!」
「あはは! そうかもしれないね」
見つけても去ってしまうもの。そばにいたのになかなか見つからないもの。トカゲもクロイロコウガイビルもみんな、きっと無理せず自分らしく生きていくための場所を探してるのかもしれない。