絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
* * * *
徳香は飲み会に来たことを少し後悔していた。知らない人ばかりの中、雪乃は時々話しかけてくれるものの、友人や彼氏との会話が盛り上がってしまえば徳香は蚊帳の外だった。
いや、そうだよ。こうなるってどうしてわからなかったのかなーーそこまで見通せなかった自分も悪い。
壁際の席を丸々一列、飲み会の参加者が座っていた。フロアは他にもお客がいるため騒がしく、黙っていてもバレない今の状況が徳香には好都合だった。
雪乃たちの会話に愛想笑いを振りまいていると、突然誰かが隣に座る気配がした。
ゆっくり振り返ると、明るい茶色の髪にピアスの明らかに遊んでいそうな男性が、頬杖をついて徳香を不敵な笑みを浮かべて見ていた。
「ノリカちゃんだよね?」
「えっ、あっ、はい、そうです」
苦手なタイプに話しかけられてしまい、とりあえず笑顔を貼り付ける。
「ねぇねぇ、ノリカちゃんて今何才?」
「……二十五才です」
「おっ、同じじゃん。仕事は何してるの?」
「えっと、保育士です」
どうせ言ってもわからないしね。あまり自分の素性を話したくなかった徳香は、幼稚園教諭ということは伏せた。
「あぁ、なんかそれっぽいよね。保育士って、ずっと子どもたちと遊んでるんでしょ? なんか楽しそうだよね。俺は美容師なんだけど、ずっと立ってるし、ご飯もほとんど食べる時間ないし、手は荒れるし、結構しんどいんだよね」
あぁ、また出た。『ずっと遊んでていいなぁ。お昼もゆっくり食べてるんでしょ?』みたいな感じ。
昼なんかほぼ飲み込んで、味わう時間なんかない。子どもたちがこぼしたり泣いたりして、食べられない日だってある。水仕事だってたくさんあるから、私だって手荒れがひどいんだから。しかもこっちだって立ち仕事。楽な仕事なんてあるわけないじゃないーー怒り心頭だったが、そんなことは言えないからとりあえずグッと堪える。
徳香は飲み会に来たことを少し後悔していた。知らない人ばかりの中、雪乃は時々話しかけてくれるものの、友人や彼氏との会話が盛り上がってしまえば徳香は蚊帳の外だった。
いや、そうだよ。こうなるってどうしてわからなかったのかなーーそこまで見通せなかった自分も悪い。
壁際の席を丸々一列、飲み会の参加者が座っていた。フロアは他にもお客がいるため騒がしく、黙っていてもバレない今の状況が徳香には好都合だった。
雪乃たちの会話に愛想笑いを振りまいていると、突然誰かが隣に座る気配がした。
ゆっくり振り返ると、明るい茶色の髪にピアスの明らかに遊んでいそうな男性が、頬杖をついて徳香を不敵な笑みを浮かべて見ていた。
「ノリカちゃんだよね?」
「えっ、あっ、はい、そうです」
苦手なタイプに話しかけられてしまい、とりあえず笑顔を貼り付ける。
「ねぇねぇ、ノリカちゃんて今何才?」
「……二十五才です」
「おっ、同じじゃん。仕事は何してるの?」
「えっと、保育士です」
どうせ言ってもわからないしね。あまり自分の素性を話したくなかった徳香は、幼稚園教諭ということは伏せた。
「あぁ、なんかそれっぽいよね。保育士って、ずっと子どもたちと遊んでるんでしょ? なんか楽しそうだよね。俺は美容師なんだけど、ずっと立ってるし、ご飯もほとんど食べる時間ないし、手は荒れるし、結構しんどいんだよね」
あぁ、また出た。『ずっと遊んでていいなぁ。お昼もゆっくり食べてるんでしょ?』みたいな感じ。
昼なんかほぼ飲み込んで、味わう時間なんかない。子どもたちがこぼしたり泣いたりして、食べられない日だってある。水仕事だってたくさんあるから、私だって手荒れがひどいんだから。しかもこっちだって立ち仕事。楽な仕事なんてあるわけないじゃないーー怒り心頭だったが、そんなことは言えないからとりあえずグッと堪える。