秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 ご両親には、私が抱える実家との確執と、縁を切った経緯をすべて明かした。大雅からそれとなく聞いてはいたようだが、私からもきちんと話しておくべきだろう。

「それは、辛かったわね」

「私たちを本当の親だと思ってくれればいい」

 ふたりからそんな温かい言葉をかけられて、涙が込み上げてくる。

「ありがとうございます」

 その後は、陽太を中心として和やかな時間を過ごした。
 お義母さんが見せてくれたアルバムには、私ですら陽太と見間違えるほどそっくりな、幼い頃の大雅が写っていた。少し後から一緒に写るようになった弟さんも、やはり似ている。
「遺伝子のなせる業だな」としみじみとつぶやいたお義父さんの言葉に、全員が声をあげて笑った。

「時間が大丈夫なら、お夕飯も食べていってね」

 お義母さんの言葉に甘えて、ずいぶん長居してしまった。

 陽太が愚図って手近なものを投げてしまったときも、ふたりは決して気を悪くはしない。その都度抱き上げてあやしたり、優しい口調で投げてはいけないと教えてくれる姿に、陽太ともども受け入れられたことを改めて実感した。

「また遊びに来てね」

 別れ際は、名残惜しそうにするふたりに玄関の外までに見送られた。

 車を走らせて早々に、陽太が寝入ってしまう。機嫌がよかったとはいえ、小さな体には負担になってしまったのだろう。

 これまでの陽太は、ほぼ私と加奈子さんだけに囲まれた狭い世界にいた。そこに父親である大雅が加わり、祖父母もできた。叔父となる大雅の弟さんにも、近いうちに会えるだろう。
 こうやって彼を取り巻く世界が広がっていくのは、母親として嬉しい。
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