秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
「愚息がまた……ごめんなさいね。陽太君は責任をもって預かるから、あなたは思う存分やってしまえばいいのよ」

 突然の訪問にもかかわらず、お義母さんが快く受け入れてくれる。
 去り際にそんな言葉をかけられてしまったが、大雅から一体どんな話を聞いているのだろう。とにかく彼女は、かなり腹を立てているらしい。
 
 私を後押ししてくれるような様子に少しだけ勇気づけられたが、ひとりになった帰り道は、これから聞かされる話を想像して気分が沈む。

 重い足取りで、エントランスを抜ける。
 エレベーターを降りてため息をつきながら玄関を開けると、大雅の到着の方が速かったようで、見慣れた革靴が几帳面にきっちりとそろえて置かれていた。

「ただいま」

「千香!」

 声を聞きつけて、大雅が弾けるような勢いで駆けてきた。

「千香、すまない」

 前触れもなく抱きしめられて、困惑する。これでは彼の表情が見えなくて、なにも判断ができない。

「大雅?」

「急にごめん」と言いながら、そっと体を離される。その謝罪がなにに対するものかと、途端に不安に襲われる。

 眉尻を下げて、ひたすら申し訳なさそうな表情をする大雅を促して、ひとまずリビングへと向かった。
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