秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 ダイニングテーブルに向かい合わせに腰を下ろしたが、ふたりとも緊張が隠せず、ぎこちない空気が漂っている。

「まず、電話でも言ったけど、これだけは先に言わせてほしい。出張中に千香のお姉さんとはたしかに遭遇した。けど、向こうから勝手に押しかけられただけで、俺からどうこうしたなんていう事実はいっさいないから」

「押しかけられた?」

 それは一体どういう状況なのだろう。
 たしか梨香のSNSには、いかにも付き合っている男性と旅行に来ている雰囲気だったはず。

「そう。実は……」

 そう切り出した大雅の話は、私の思いもよらないものだった。

 以前、彼が私の行方を探りに広島の実家を訪れたとき、やはり大雅は梨香と鉢合わせていたようだ。

「挨拶を交わした程度なのに、ずいぶん気に入られてしまって……」

 容姿も人当たりもいい大雅は、本人に自覚はないかもしれないが、惹かれる女性は多いに違いない。

「それ以来、なにかと付きまとわれてたんだ」

 大雅の勤め先を知った梨香は、彼を追いかけて東京まで数回やってきたらしい。
 私の前例があっただけに、父としては必死に梨香を窘めていたようだ。ただ、父のことだから梨香に対して強硬な態度には出られなかっただろうと想像する。
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