秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 もしかして私への接触がなかったのは、梨香の行動にそれどころじゃなかったからだろうか。

「念のため、警察にストーカーの被害を受けていると相談をしてある。ほら、これを見てよ」

 大雅が差し出してきたスマホのメールボックスのひとつに、〝佐々木梨香〟という唯一個人名がついたフォルダーが存在していた。今はその名前を見るだけでも嫌な気持ちになる。

 念のためにと、父とアドレスを交換したことが仇となったようで、そこから梨香にも知られてしまったようだ。

 大雅は少しの躊躇も見せずに、その中身を開示した。

【大雅さん、愛してる!】
【次はいつ広島に会いに来てくれるの?】
【結婚式は、いつがいいかなあ】

「なに、これ……」

 なんの脈絡もない短文に、戸惑ってしまう。
 いつから送られているのか、その数は千を優に超えているようだ。

 唖然としつつ、もう少しだけ確認をする。

 ひどい日には日に何十通も送られている。最近のものだと二カ月ほど前になり、それ以降はいっさい届いていないところが逆に不気味だ。

「千香の居場所を掴めた頃に、警察から佐々木梨香のストーカー行為に対して勧告が出ている。そのタイミングでアドレスを変えてしまったから、それ以降は届いていない。千香、次はこれも見て」

〝警察〟という言葉に思わず反応してしまったが、聞かされた状況からすると、大雅の行動は当然だろう。
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