秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 週末に、家族三人で久しぶりに加奈子さんの元を訪れた。

「まあまあ。ちょっと見ないうちに、大きくなったわねぇ。陽太君、覚えてるかな?」

 顔を合わせた直後は、どことなくよそよそしさを見せていた陽太だったが、しばらくすると思い出したのか、加奈子さんに抱かれてすっかりリラックスしていた。

 今日は彼女の申し出に甘えて、久しぶりに手料理をいただくことになっている。

「加奈子さん、私たちアメリカ行きが決まったの」

「ずいぶん遠くねぇ。でも、千香ちゃんも旦那さんも英語が堪能なんでしょ? きっと心配いらないわね。陽太君も、次に会ったときには〝ハロー〟なんて英語で挨拶されちゃったりしてね」

 久しぶりに彼女と囲む食卓は、あの頃よりもさらに楽しくて笑顔に溢れている。

「実は私もね、息子夫婦に赤ちゃんが生まれたのよ」

「わぁ、おめでとうございます」

「ありがとう。長男のところは、お嫁さんもお仕事をしてるのよ。それで、同居が嫌なら近居でもいいから育児の手伝いをして欲しいって、お嫁さんの方から頼まれちゃったの」

「困ったわ」とこぼす加奈子さんだけど、その表情はどこか嬉しそうだ。きっと近いうちにそれに応えるつもりなのだろう。
 加奈子さんの生活が、これからますます充実したものになっていくと思えば、私の喜びも大きい。

「また、絶対会いましょうね」

 再会の約束を交わして、彼女の元を後にした。
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