秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
「いただきます」

 その横で澄ました顔した大雅は、何事もなかったかのように食事をはじめた。

「ほら、ママも。冷めちゃうよ」

「も、もう!」

 妻として接しながら、ママと呼んでみせる彼に慌ててしまう。
 優しいばかりの人だと思っていたけれど、付き合いが長くなってくればそれ以外の面も見えてくる。

 今のところ私が掴んだ小田切大雅という人間は、優しいけれどちょっと意地悪で、でもかわいくもあり……よい意味で愛情過多。
 新しい一面を見つけるたびに嬉しくなるけれど、こちらは翻弄されてばかりだ。

「陽太、口の周りについてるぞ」

 さっと拭ってやった後、「ほら、千香も」と素早く近付いて私の唇をぺろりと舐めたうえに軽く口づける

「っ……」

 衝撃で固まる私に、大雅はくすりと笑った。

「アメリカ行きも、もう来週だろ? 向こうの習慣にも慣れておかないとな」

 不満げな表情を隠しもしないで、大雅をジト目で見やる。

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