S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

「よくわからないことが怖いからって、逃げてちゃだめだよ。きちんと夫婦で解決しよう」

 言い当てられ、言葉に詰まっていると、要さんは私の肩を抱き寄せた。

「今日は、キミからキスして」

 それを聞いて、ぶわっと顔が熱くなる。

―――まただ。

 半年も費やしてキスに慣れてきたとき、要さんがそんなことを言い出した。

 私は、自分からするキスにいまだ慣れない。
 だけど、要さんは挑発するように私に言う。

「できない?」
「で、できます!」

(仕事で挑発され続けられているせいか、『できない』って言えない身体になっているような……)

< 10 / 283 >

この作品をシェア

pagetop