S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
その低い声に、また心臓が大きくドクンと音を立てる。
顔もきっと赤い。それを誤魔化すために、思わず要さんから目をそらして、私はぽつりとつぶやく。
「そ、それ、な、なんか嫌ないいかたですね」
「だって実際にそうだろう? 結婚を決めた時に、ルールもいくつか決めたじゃないか」
要さんが困ったように笑った。そして続ける。
「職場では結婚していることを秘密にし、キミが納得できるまでキミは仕事を続ける。仕事を続けているうちは、子どもは作らない。ただし……子ども作る行為についてのキミの知識は全く足りていないから、こちらについては、俺の言う通りに毎日勉強し努力するルールだ。仕事を辞めたらすぐに子どもを作るって約束もあるし」
私はまた言葉に詰まって、目線を宙に浮かせる。
そんなはっきりと言われるとなんだか恥ずかしいが、要さんはそんなこと全然恥ずかしがってもいないのだから不思議だ。
それに『子どもを作る行為についての知識が全く足りてない』って、要さんが勝手に言い出したことだし。私だって、一応学校で勉強したんですから。
まぁ、その大事な授業の日に風邪をひいてやすんでしまい、同じような友達にふんわりした知識しか聞いてないんだけど……。でもね?
「私、全く知識がないってこともありませんよ?」
「……むしろマイナスだったな。最初聞いた時、卒倒するかと思った。『夫婦が夜にベッドで一緒に寝ると子どもができている』だっけ? 君はそれを文字通りにとらえていたからね」
「う……」
そう、私は私と同じような友達にそう聞いて、本気でそう思っていたけど、どうやら違うようで、それは要さんが教えてくれた。
だから、こうして一緒にベッドにいても大丈夫だ、というところから話ははじまっているのだ。
「それに、私は定年まで勤めあげたいと思っています」
「またそういうことを……」
要さんは困ったように笑う。
私はその笑顔にまたドキリとする。