S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
―――出張当日。
その日、私は如月さんと北海道に出張に行けることになり、新千歳空港に降り立っていた。
しかし……。
「部長まで一緒だったんですね」
「ちょうど、こっちの支社長と取引先にご挨拶もしたいと思っていたから。昼は別行動な」
なんと、出張は要さんまで一緒だったのだ。
とはいっても、仕事は別で、ホテルだけ一緒(もちろん別部屋)なんだそうだけど。
「そうですか」
なぜかがっかりしている如月さんを見て、要さんは目だけで笑うと、じゃ、ホテルで、と言って行ってしまった。
実は、私は北海道ははじめてで、出張と言っても、少しワクワクしていた。出張準備も何日か前にしてしまっていたくらいだ。
そんな私を見て、如月さんが苦笑する。
「そんな楽しみにしてても、ほとんど社屋から出られないぞ」
「でも、この少しヒヤッとした空気だけでも全然違いますね」
「夜はうまいところを聞いてやるから食事に行こうな」
「ぜひ!」
私が頷いて、如月さんもやっといつもの調子に戻った気がした。