S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
眉を寄せた私を見て、ちょっといいか? と部署外の廊下を指さされた。
私は要さんについて廊下に出る。たぶん私用の連絡だろう、と私は踏んでいた。
「これから研修なので手短にお願いします」
「さっきカコを、仕事を異常な速度で終えたじいさんがもう迎えに行っていた。心配しなくても泊まりの着替えはじいさんの方で用意してるらしい」
「そうですか」
カコは、私と要さんの娘でもうすぐ2歳だ。
あまり人見知りのなかったカコは、すでに祖父たちに十分すぎるほど懐いていた。
「それに明日は七瀬会長までうちの祖父の家に来て泊まるって」
「またぁ?」
「かわいくて仕方ないんだろ。なにせ、カコはいろはに似てるし」
そして私の祖父も、私にはあんなに厳しかったくせに、カコにはデロデロの甘々である。
少々解せないけど、それでも、こうしてみんなに愛されてすくすく育っていく娘を見ているのは、何にも代えがたい喜びだと感じていた。