S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
―――夜10時をすぎて。
寝室のドアを開くときは、いつだって少し緊張する。
寝室を開けると、要さんがいつもみたいにベッドで分厚い本を読んでいた。
私の顔を見るなり、要さんは微笑んでベッドのシーツを開き、こっちだよ、というように誘導する。
私はまるで会議室にでもはいるように、失礼します、なんて言って要さんの隣に収まる。
要さんが本を読み進めている間、私はなんとなく自分の指を見つめ……
要さんが本を閉じた音にびくりとすると、いつもどおり、口が勝手に動き出した。
「か、要さんは、どうやって勤務時間内にあの大量のタスクをこなしているんですか。いくら部下に無茶振りしてるとはいえ、部長職の仕事量は尋常ではないでしょう?」
「まぁ、頑張れる元がいるからな」
「元……?」
私がそう言って要さんを見ると、要さんは頷いて私の目をじっと見つめた。
その男らしい瞳に射止められると、思わずぐっと息が詰まる。勝手に心臓が早く脈打つ。
そんな私を見て、要さんが注意するように口を開いた。
「家で会社の仕事の話しはしないってルールだけど?」
「そうでした、すみません」
わかってはいるけど、あまりに二人に共通の話題がなくてそうしてしまう。緊張しているのもあるし……。
そう思って私が黙りこくると、要さんは私の頬を撫でた。
「これからは、もう一つの、君の大事な仕事の時間だしね。こちらはもっと頑張ってもらわないと」