The holiday romance
secret room
大きな窓はボタン一つでカーテンが開閉するし、
もう一つ別に部屋があって
大きなウォークインクローゼットがあり
そこに大きな鏡がある。

そして二つの洗面台の奥に
透明のシャワールーム、
そしてシャワールームの外に猫足のバスタブがあった。

ユキにとってはハジメと泊まる時よりだいぶ金額を抑えた部屋だったが
安いビジネスホテルかラブホテルしか使ったことのないシンにとっては別空間だった。

「なんか…めっちゃすごいっすね。

てゆーか風呂入ったらここから丸見えですよね。

透明とかラブホくらいしか見たことないけど…
高級なホテルでもあるんだ。」

「え?ラブホテルってこんな感じなの?」

「行ったこと無いんですか?
全然違いますよ。
同じ透明でももっとエロいっていうか…
いかにもHする為の演出っていうか…」

「シンくんはいつもそういうところ使うの?」

「まぁ全然普通な感じの部屋もありますけど…
どんな部屋でも入る目的は一緒ですから…
同じお金払うならエロい方が楽しいでしょ?」

真面目そうなシンがすごく手馴れてる男に感じてユキはかなり驚いた。

「そっか。
シンくんは若いのに経験豊富なんだ。
でもここはそういうトコじゃないのよ。
だから、そんなふうに考えないで。」」

ユキが恥ずかしそうな顔でクギを刺すのでシンも恥ずかしくなってしまった。

「いや、そんな言うほど経験ないっすよ。
フツーです。フツー。
ユキさんが知らな過ぎるだけですよ。」

結婚するまでハジメ以外の人と恋をすることすら避けてきたユキにはシンの話は刺激的だったが
興味深くもある。

シンはシンでユキの世界があまりに世間とかけ離れていて神秘的で触れてはいけないものに触れてみたいと思う危うさみたいなものがあった。

「にしてもすげぇ豪華だなぁ。
こんなとこ泊まって良いのかな。」

ユキはただ黙ってシンが驚いている姿を見てる。

それにしてもユキは掴みどころがないとシンは思った。
今まで出逢ったことのないタイプだし、
浮世離れしてる感じもする。

詳しい年齢はわからないが自分より年上なのは何となくわかる。

そんな年でラブホテルにも入ったことが無いのに
今日会ったばかりの男を部屋に泊めてしまう大胆さもある。シンには全く理解不能だった。

「とにかく私がお風呂に入ってる時はこの部屋には入らないで。
もうここからがバスルームだと思って。」

ユキは自分が女であることを意識させないように平静を装ってみるが
シンはそんなユキを熱い目でじっと見ている。

「そこで洗濯したらここに干せばいいわ。」

恥ずかしくてシンから視線を逸らすと今度は鏡に映るシンと目が合ってしまった。

シンはこれからの色んなシチュエーションが頭に浮んでユキに触れたくて堪らなくなる。
それはこの状況で25歳の健全な男なら大半は考える事だ。

ユキはその空気を感じてとにかく今はシンと距離を取るべきだと思った。

「じゃあ、先にシャワー使って。」

そう言ってユキが焦って部屋へ戻ろうとするとシンがいきなりユキの腕を掴んで言った。

「嫌なら口を塞ぐ前に嫌だって言って。」

シンは勝負に出た。

そしてキスしようと顔を近づけて、
もしユキが嫌だと避けたら諦めようと思った。

ユキは逃げなかった。
というよりもう逃げられなかった。

どんなに否定しても本当は自分もシンにそうされたいと願っている。

ハジメではない男に触れられたらどうなるか知りたかった。

「ユキさん…ダメですよ。
こういう時は逃げなきゃ…」

そう言いながら何度もキスをしてユキの着てる服を1枚ずつ脱がしていく。

シャワーも浴びずにベッドでも無い場所でハジメ以外の人が自分に触れてくる。

ユキはあまりに何も知らなかった。

怖くなって思わず声を出した。

「待って。」

シンはもうその手を止められなくなっていた。

「…シンくん…やめて…」

その声を聞かずユキの下着を下ろすと
否定的な言葉とは裏腹に
まるで望んでいたかの様にユキが腰を上げる。

背後からシンが覆い被さり
ユキの脚を片方上げるとユキは自分の中がシンに満たされていくのを感じて思わず声を上げた。

鏡に映る自分たちを見るとまるでドキュメンタリーで観た動物の交尾そのものだった。

何も考えず、本能だけで動くその行為にユキの身体は快楽に溺れていく。

シンは鏡の中のユキと目が合うと喘ぎ声を上げる半開きのユキの口に自分の指を差し込んだ。
その指にユキは舌を絡ませた。

ユキの身体はどんどんシンによって満たされていく。
こんな気持ちになったことは一度もなかった。

「ユキさん…気持ち…いい?」

シンのその言葉に頷き、ユキの意識が飛んでいく。

シンをもっと深くまで感じたくて自然に腰が動いてしまう。

「あー…めっちゃエロい。
ヤバい…オレ…逝っちゃいそう。」

そしてユキは今まで感じたことのない感覚に襲われて身体が震え、目の前が真っ白になった。

シンももう限界だった。
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