天敵御曹司は政略妻を滾る本能で愛し貫く
「俺も、視聴者も、現場のスタッフも、皆認めている。君の着物にかけた思いを、ちゃんと見ているよ」
私の頭を撫でながら、毛布のように優しい声で包み込んでくれる優弦さん。
泣き声を我慢できるはずがなかった。
私は初めて彼の背中に腕を回して、彼の体温を自ら求めた。
遺伝子が作用して発情してしまうかもとか、そんなことはもう考えていなかった。
ただ、目の前のこの人に、今は甘えてしまいたいという気持ちでいっぱいで……。
「世莉。泣かないで」
黒い瞳に見つめられたその瞬間――、心臓が締め付けられるような衝撃が走った。
あ、まずい、またあの発情現象だ……。
自分が自分じゃなくなっていくこの感じ……すごく怖い。
「ゆ、優弦さん、ダメ、離れて……っ」
「離れない」
「あっ……」
頭の中が、クラクラする。
敷きっぱなしにしていた敷布団の上に、私はそのまま組み敷かれてしまった。
慣れた手付きで行灯の光が灯され、逆光でよく見えなかった優弦さんの美しい顔があらわになる。
今、どうしようもなく触ってほしいと願っている相手は、憎い憎い相良家の長男だ。
その矛盾した感情が、私のことをどんどん追い込んでいく。
「こんな世界を作った、相良家が憎いですっ……」
このまま理性が飛んで行ってしまうことが怖くて、私は溜まっていた感情をそのまま口に出して正気を保った。
「アルファだのオメガだの知られなければ、こんな差別は生まれなかったというのにっ……」
怒りに任せて、泣き叫ぶように吐き捨てた。
めちゃくちゃな言い分だと自分でも分かっている。
いずれにせよ誰かがこの遺伝子の関係性には気づいていただろう。
差別が生まれたのも人間の性というやつで、相良家に限ったことではないのも分かっている。
だけど、言わずにはいられなかった。
こんな世界がこれからもずっと続くのなら、私は生きている意味がない。
泣き腫らした目で彼を睨みつけるも、優弦さんの表情はひとつも変わらなかった。
「世莉。俺がこの家の全部を変えるまで、もう少し待ってくれないか」
「え……?」
全部を変える……? いったいどういうこと?
思わぬ返事に驚き言葉を失っていると、優弦さんは私の手を取り、そのままぎゅっと優しく包み込んだ。
「アルファ型がオメガ型を支配することなんて、俺は一切望んでいない」
私の頭を撫でながら、毛布のように優しい声で包み込んでくれる優弦さん。
泣き声を我慢できるはずがなかった。
私は初めて彼の背中に腕を回して、彼の体温を自ら求めた。
遺伝子が作用して発情してしまうかもとか、そんなことはもう考えていなかった。
ただ、目の前のこの人に、今は甘えてしまいたいという気持ちでいっぱいで……。
「世莉。泣かないで」
黒い瞳に見つめられたその瞬間――、心臓が締め付けられるような衝撃が走った。
あ、まずい、またあの発情現象だ……。
自分が自分じゃなくなっていくこの感じ……すごく怖い。
「ゆ、優弦さん、ダメ、離れて……っ」
「離れない」
「あっ……」
頭の中が、クラクラする。
敷きっぱなしにしていた敷布団の上に、私はそのまま組み敷かれてしまった。
慣れた手付きで行灯の光が灯され、逆光でよく見えなかった優弦さんの美しい顔があらわになる。
今、どうしようもなく触ってほしいと願っている相手は、憎い憎い相良家の長男だ。
その矛盾した感情が、私のことをどんどん追い込んでいく。
「こんな世界を作った、相良家が憎いですっ……」
このまま理性が飛んで行ってしまうことが怖くて、私は溜まっていた感情をそのまま口に出して正気を保った。
「アルファだのオメガだの知られなければ、こんな差別は生まれなかったというのにっ……」
怒りに任せて、泣き叫ぶように吐き捨てた。
めちゃくちゃな言い分だと自分でも分かっている。
いずれにせよ誰かがこの遺伝子の関係性には気づいていただろう。
差別が生まれたのも人間の性というやつで、相良家に限ったことではないのも分かっている。
だけど、言わずにはいられなかった。
こんな世界がこれからもずっと続くのなら、私は生きている意味がない。
泣き腫らした目で彼を睨みつけるも、優弦さんの表情はひとつも変わらなかった。
「世莉。俺がこの家の全部を変えるまで、もう少し待ってくれないか」
「え……?」
全部を変える……? いったいどういうこと?
思わぬ返事に驚き言葉を失っていると、優弦さんは私の手を取り、そのままぎゅっと優しく包み込んだ。
「アルファ型がオメガ型を支配することなんて、俺は一切望んでいない」