天敵御曹司は政略妻を滾る本能で愛し貫く
再会した時の、心から喜んでいる世莉を見て、敏子さんのことをとても信頼しているのだとすぐに分かった。
そんな彼女に、俺はひとつ聞いてみたいことがあった。
「あの……、ひとつ教えてほしいことがあるのですが」
「はい、何でしょう」
二人きりになるタイミングなどなかなか無かったため、今しかないと思った。
「梅さんは、どんな人だったのか教えてもらえますか」
「え……」
「数える程度しか話したことがなく、知りたいんです」
敏子さんも、相良家がしてきたことは知っているはずだ。それなのに、こんなことを聞くなんて、失礼極まりないだろう。現に、敏子さんは今驚いた顔で固まっている。
だけど、俺は知りたい。世莉という人間をつくってきた大切な人のことを、もっと分かりたい。
「世莉が幼い頃、梅さんとどんな会話をしていたとか、どんなことをして遊んでいたとか……。些細なことでいいんです」
「優弦さん……」
俺は、世莉の抱える悲しみに、少しでも触れたい。
一緒に、傷を分かち合いたいと思っている。
傷を与えたのは、相良家そのものだというのに……。
複雑な顔をしている俺を見上げて、敏子さんは目尻を下げて静かに微笑んだ。
「ええ、もちろんです。なかなか世莉さんは昔のことをご自分から話さないでしょうから」
俺が軽はずみな気持ちで聞いたわけではないと悟ってくれたのか、敏子さんは優しい声音でそう返してくれた。
「丁度もうすぐ、梅さんの命日ですからね。私が話せるのは些細なことばかりですが……」
「ありがとうございます……」
「今度お茶でもしながら話しましょう」
優しい笑顔を向けてくれた敏子さんに、俺もつられて静かに目を細める。
世莉にとって、たとえ俺がどんな人間だろうと関係ないだろう。俺が相良家の跡取りである限り、世莉は俺といればいるほど梅さんのことを思い出して、複雑な感情になっているに違いない。
それでも、俺にできることは何だってしてあげたいと思ってしまう。
「優弦さん、もっと世莉お嬢様の前でも、そんな風に笑われては」
「え……」
「ゆっくり時間をかけて、夫婦になるのもいいことですよ」
ふいにそんなことを言われ、俺は気の抜けた声を出してしまった。
今自分がどんな顔をしていたのか分からなくて少し羞恥心を抱き、思わず手で顔を隠す。
そんな彼女に、俺はひとつ聞いてみたいことがあった。
「あの……、ひとつ教えてほしいことがあるのですが」
「はい、何でしょう」
二人きりになるタイミングなどなかなか無かったため、今しかないと思った。
「梅さんは、どんな人だったのか教えてもらえますか」
「え……」
「数える程度しか話したことがなく、知りたいんです」
敏子さんも、相良家がしてきたことは知っているはずだ。それなのに、こんなことを聞くなんて、失礼極まりないだろう。現に、敏子さんは今驚いた顔で固まっている。
だけど、俺は知りたい。世莉という人間をつくってきた大切な人のことを、もっと分かりたい。
「世莉が幼い頃、梅さんとどんな会話をしていたとか、どんなことをして遊んでいたとか……。些細なことでいいんです」
「優弦さん……」
俺は、世莉の抱える悲しみに、少しでも触れたい。
一緒に、傷を分かち合いたいと思っている。
傷を与えたのは、相良家そのものだというのに……。
複雑な顔をしている俺を見上げて、敏子さんは目尻を下げて静かに微笑んだ。
「ええ、もちろんです。なかなか世莉さんは昔のことをご自分から話さないでしょうから」
俺が軽はずみな気持ちで聞いたわけではないと悟ってくれたのか、敏子さんは優しい声音でそう返してくれた。
「丁度もうすぐ、梅さんの命日ですからね。私が話せるのは些細なことばかりですが……」
「ありがとうございます……」
「今度お茶でもしながら話しましょう」
優しい笑顔を向けてくれた敏子さんに、俺もつられて静かに目を細める。
世莉にとって、たとえ俺がどんな人間だろうと関係ないだろう。俺が相良家の跡取りである限り、世莉は俺といればいるほど梅さんのことを思い出して、複雑な感情になっているに違いない。
それでも、俺にできることは何だってしてあげたいと思ってしまう。
「優弦さん、もっと世莉お嬢様の前でも、そんな風に笑われては」
「え……」
「ゆっくり時間をかけて、夫婦になるのもいいことですよ」
ふいにそんなことを言われ、俺は気の抜けた声を出してしまった。
今自分がどんな顔をしていたのか分からなくて少し羞恥心を抱き、思わず手で顔を隠す。