天敵御曹司は政略妻を滾る本能で愛し貫く
「ええ。今日は落ち着いているわ。ありがとう」
にこっと目を細めるお義母様に、不思議と心が解れる。
彼女も相良家に嫁いできた身……。色々と思うことはないのだろうか。
それとも、相良家に骨をうずめ、心から旦那様を慕っているのだろうか。
「優弦は、ちゃんと世莉さんに優しくしていますか」
「え……」
疑心を抱いている私に、お義母様はふいに問いかけてきた。
「分かりづらい性格をしていますから。世莉さんにご迷惑をおかけしていないか不安で……」
「そ、そんな……。優弦さんにはいつも助けてもらっていて……」
そこまで言いかけて、ハッとした。
相良家に嫁いだあの日から、私は確かに彼にずっと助けられていた。
火傷を処置してもらったり、着物を取り返してもらったり、女中のいじめを暴いてもらったり、ばあやを雇ってもらったり、お仕事を頂いたり……。
もしそこに何の計算もなく、ただ私を思っての行動だったのなら、私は……とんでもなく失礼な態度を取っていた。
「優しく……していただいています……」
「そうですか。それなら、よかったです」
たどたどしくもしかり答えた私を見て、お義母様は優しい声でそう一言添えてくれた。
「梅さんの作るお着物は……、私も大好きでした」
お墓を見つめるお義母様の横顔は、どこか切なげだ。
私は何と返したらいいのか分からないまま、ただ耳を傾ける。
雨はまだ降り続けていて、後ろにいるお手伝いさんが、お義母様の上で傘を差したまま何も言わずに立っている。
「世莉さん。私はあなたに死ぬまで恨まれても仕方ないと思っています」
「え……」
「本来なら、私があの家を……あの人を、正すべき立場でした……」
お義母様の言う〝あの人〟が旦那様であることは、悲しげな表情からありありと伝わってきた。
思わぬ発言をされ、私はただ動揺している。
目を見開き固まっている私の手に、お義母様はそっと手を重ねてきた。
「こんなことをお願いするのは間違っていますが、でも、あなたしかいません。どうか相良家の全てを、暴いてください。そして、変えてください……」
「お義母様……?」
「優弦と一緒に」
可憐な印象とは違った、その力強い言葉に、私は再び閉口してしまった。
お義母様も、あの家を変えることを望んでいるの……?
いったい、どういうこと?
にこっと目を細めるお義母様に、不思議と心が解れる。
彼女も相良家に嫁いできた身……。色々と思うことはないのだろうか。
それとも、相良家に骨をうずめ、心から旦那様を慕っているのだろうか。
「優弦は、ちゃんと世莉さんに優しくしていますか」
「え……」
疑心を抱いている私に、お義母様はふいに問いかけてきた。
「分かりづらい性格をしていますから。世莉さんにご迷惑をおかけしていないか不安で……」
「そ、そんな……。優弦さんにはいつも助けてもらっていて……」
そこまで言いかけて、ハッとした。
相良家に嫁いだあの日から、私は確かに彼にずっと助けられていた。
火傷を処置してもらったり、着物を取り返してもらったり、女中のいじめを暴いてもらったり、ばあやを雇ってもらったり、お仕事を頂いたり……。
もしそこに何の計算もなく、ただ私を思っての行動だったのなら、私は……とんでもなく失礼な態度を取っていた。
「優しく……していただいています……」
「そうですか。それなら、よかったです」
たどたどしくもしかり答えた私を見て、お義母様は優しい声でそう一言添えてくれた。
「梅さんの作るお着物は……、私も大好きでした」
お墓を見つめるお義母様の横顔は、どこか切なげだ。
私は何と返したらいいのか分からないまま、ただ耳を傾ける。
雨はまだ降り続けていて、後ろにいるお手伝いさんが、お義母様の上で傘を差したまま何も言わずに立っている。
「世莉さん。私はあなたに死ぬまで恨まれても仕方ないと思っています」
「え……」
「本来なら、私があの家を……あの人を、正すべき立場でした……」
お義母様の言う〝あの人〟が旦那様であることは、悲しげな表情からありありと伝わってきた。
思わぬ発言をされ、私はただ動揺している。
目を見開き固まっている私の手に、お義母様はそっと手を重ねてきた。
「こんなことをお願いするのは間違っていますが、でも、あなたしかいません。どうか相良家の全てを、暴いてください。そして、変えてください……」
「お義母様……?」
「優弦と一緒に」
可憐な印象とは違った、その力強い言葉に、私は再び閉口してしまった。
お義母様も、あの家を変えることを望んでいるの……?
いったい、どういうこと?