天敵御曹司は政略妻を滾る本能で愛し貫く
私は、優弦さんのことを、信じてみたいと思っている……。
彼から目を離さずに見つめていると、ふっと視界が影って顔が近づいてきた。
「え……」
キスをされる。そんな状況であることにようやく気づいた私は、ぎゅっと目を閉じた。
しかし、唇には何の感触もなく、代わりに額に柔らかいものが触れた。
「ゆ、優弦さん……?」
「ごめん。驚かせたね」
額を指で押さえて彼を見上げる。
キスの直前に目を伏せた彼はとんでもなく色っぽくて、そのままの流れでついキスをしてしまいそうだった。
私今、いったい何てことを……。
ハッと正気に戻り、必死に羞恥心と戦う。
何とか平気なふりをするけれど、今、耳まで赤くなってしまっている気がする。
「じゃあ、俺は部屋に戻るね。世莉は仕事に専念して」
「は、はい。ありがとうございます……」
私よりずっと平然とした様子で、部屋を出て行った優弦さん。
障子が閉まった瞬間、私はペタリと畳の上に座り込んだ。
彼が触れた場所全部が、いつまでもいつまでも熱を持っていて、熱い。
「これから、どうしたら……」
自分の気持ちが、分からない。いや……、分かりたくない。
そんなせめぎ合いが起こり、自分の心臓が爆ぜてしまいそうだ。
憎んでいた人を愛することなど、ありえないこと。
私は自分の心臓付近を手で押さえて、必死に感情を押し殺すしかなかった。
side 優弦
――お恥ずかしいことに、うちの嫁は学歴もお家柄も木島お嬢さんの足元にも及びませんから。
父親の汚い発言を聞いた瞬間、頭にカッと血が昇って、どうにかなってしまいそうだった。
木島財閥の接待に強制的に参加しろと言われ、大切な患者が沢山いる中、どうにか
仕事に折り合いをつけて時間を作ってきた。
懇意の仲である木島財閥は、うちとは切っても切れぬ縁があるらしく、父親は定期的にこうして会食の場を設けている。
木島財閥の長女とは、勝手に婚約者にされた仲で気まずく、俺的には二度と会いたくないと思っているけれど、先方の強い要望で呼び出されていたのだ。
最初、父親は世莉も紹介すると強気でいたけれど、世莉を同席させるなら俺は出席しないと断言した。父親は必ず俺を取ると思ったからだ。
正直、うちと木島財閥の縁なんて、汚い金で繋がっているとしか思えないし、そんな人間に世莉を会わせたくなかった。
彼から目を離さずに見つめていると、ふっと視界が影って顔が近づいてきた。
「え……」
キスをされる。そんな状況であることにようやく気づいた私は、ぎゅっと目を閉じた。
しかし、唇には何の感触もなく、代わりに額に柔らかいものが触れた。
「ゆ、優弦さん……?」
「ごめん。驚かせたね」
額を指で押さえて彼を見上げる。
キスの直前に目を伏せた彼はとんでもなく色っぽくて、そのままの流れでついキスをしてしまいそうだった。
私今、いったい何てことを……。
ハッと正気に戻り、必死に羞恥心と戦う。
何とか平気なふりをするけれど、今、耳まで赤くなってしまっている気がする。
「じゃあ、俺は部屋に戻るね。世莉は仕事に専念して」
「は、はい。ありがとうございます……」
私よりずっと平然とした様子で、部屋を出て行った優弦さん。
障子が閉まった瞬間、私はペタリと畳の上に座り込んだ。
彼が触れた場所全部が、いつまでもいつまでも熱を持っていて、熱い。
「これから、どうしたら……」
自分の気持ちが、分からない。いや……、分かりたくない。
そんなせめぎ合いが起こり、自分の心臓が爆ぜてしまいそうだ。
憎んでいた人を愛することなど、ありえないこと。
私は自分の心臓付近を手で押さえて、必死に感情を押し殺すしかなかった。
side 優弦
――お恥ずかしいことに、うちの嫁は学歴もお家柄も木島お嬢さんの足元にも及びませんから。
父親の汚い発言を聞いた瞬間、頭にカッと血が昇って、どうにかなってしまいそうだった。
木島財閥の接待に強制的に参加しろと言われ、大切な患者が沢山いる中、どうにか
仕事に折り合いをつけて時間を作ってきた。
懇意の仲である木島財閥は、うちとは切っても切れぬ縁があるらしく、父親は定期的にこうして会食の場を設けている。
木島財閥の長女とは、勝手に婚約者にされた仲で気まずく、俺的には二度と会いたくないと思っているけれど、先方の強い要望で呼び出されていたのだ。
最初、父親は世莉も紹介すると強気でいたけれど、世莉を同席させるなら俺は出席しないと断言した。父親は必ず俺を取ると思ったからだ。
正直、うちと木島財閥の縁なんて、汚い金で繋がっているとしか思えないし、そんな人間に世莉を会わせたくなかった。