天敵御曹司は政略妻を滾る本能で愛し貫く
「俺はただ、世莉がこれ以上泣かないで済むことだけを、望んでいる」
今まで感じたことのない切ない感情がこみあげてきて、私は下を向いた。
どうして……?
どうしてこの人は、私のためにそこまでしてくれるの。
「いつか、話さなければと思っていた。辛い話を、世莉の方からさせてすまない」
「優弦さん……」
「世莉と少しでも夫婦になれたことが幸せで、ここまで来てしまった。世莉が家に戻りたいと言うならいつでも支援するから」
初めて聞かされた、優弦さんの本音。
私はただ困惑するばかりで、上手く言葉を返すことができない。
彼が今までどんな思いで私に接してきたのか……想像するだけで、胸がギュッと苦しくなった。
「まだ、訊きたいことがあります……」
「うん、何でも訊いて」
「どうしてそんなに、私のことを思ってくださるんですか……」
最後に力なく問いかけると、優弦さんは斜め先を見上げて、何かを思い出そうとしている顔をした。
「専門学校の着物デザインコンペで優勝した時の写真を、梅さんが送ってくれたことがあった」
「え、そんなことが……っ?」
全く持って初耳な話に、私は思わず大きな声を上げてしまう。
専門学校時代まで遡ることにも驚いたし、おばあちゃまが勝手に写真を届けていたことにも驚愕した。
「その時の世莉が、すごく輝いた瞳をしていて……。俺もまだ研修医時代だっかたら、勝手に励まされた気持ちになったんだ」
「そう……だったんですか」
優弦さんはふっと目を細めて、懐かしそうに語っている。
私は昔の写真を見られていたことを知り、気恥ずかしい気持ちになった。
優弦さんは、婚約相手の私なんかには、一切興味がないと思っていたから……、
「正直、世莉には当初、同情めいた気持ちしか無かったけれど……、その写真を見た時、世莉が大切にしたいものだけは、何があっても守ってあげたいと思ったんだよ。不思議と」
「え……」
「随分勝手な感情だけど、よく覚えている」
そう言ってほほ笑む優弦さんを見て、咄嗟に彼のことを抱きしめたいと思ってしまった。
私は……ずっとずっと、自分の運命を呪って、相良家を憎んで生きてきた。
アルファ型だからとかオメガ型だからとか、そんなことで人生を左右されて、見下される日々。
今まで感じたことのない切ない感情がこみあげてきて、私は下を向いた。
どうして……?
どうしてこの人は、私のためにそこまでしてくれるの。
「いつか、話さなければと思っていた。辛い話を、世莉の方からさせてすまない」
「優弦さん……」
「世莉と少しでも夫婦になれたことが幸せで、ここまで来てしまった。世莉が家に戻りたいと言うならいつでも支援するから」
初めて聞かされた、優弦さんの本音。
私はただ困惑するばかりで、上手く言葉を返すことができない。
彼が今までどんな思いで私に接してきたのか……想像するだけで、胸がギュッと苦しくなった。
「まだ、訊きたいことがあります……」
「うん、何でも訊いて」
「どうしてそんなに、私のことを思ってくださるんですか……」
最後に力なく問いかけると、優弦さんは斜め先を見上げて、何かを思い出そうとしている顔をした。
「専門学校の着物デザインコンペで優勝した時の写真を、梅さんが送ってくれたことがあった」
「え、そんなことが……っ?」
全く持って初耳な話に、私は思わず大きな声を上げてしまう。
専門学校時代まで遡ることにも驚いたし、おばあちゃまが勝手に写真を届けていたことにも驚愕した。
「その時の世莉が、すごく輝いた瞳をしていて……。俺もまだ研修医時代だっかたら、勝手に励まされた気持ちになったんだ」
「そう……だったんですか」
優弦さんはふっと目を細めて、懐かしそうに語っている。
私は昔の写真を見られていたことを知り、気恥ずかしい気持ちになった。
優弦さんは、婚約相手の私なんかには、一切興味がないと思っていたから……、
「正直、世莉には当初、同情めいた気持ちしか無かったけれど……、その写真を見た時、世莉が大切にしたいものだけは、何があっても守ってあげたいと思ったんだよ。不思議と」
「え……」
「随分勝手な感情だけど、よく覚えている」
そう言ってほほ笑む優弦さんを見て、咄嗟に彼のことを抱きしめたいと思ってしまった。
私は……ずっとずっと、自分の運命を呪って、相良家を憎んで生きてきた。
アルファ型だからとかオメガ型だからとか、そんなことで人生を左右されて、見下される日々。