天敵御曹司は政略妻を滾る本能で愛し貫く
「あの時から、優弦さんのことを知りたいと思うようになりました。あの本はまるで、優弦さんの心のようで……」
 そう言うと、優弦さんはそっと顔を上げて、私の顔を真っ直ぐ見つめてきた。
 最初は驚いた顔をしていたけれど、だんだんと力が抜けて、優弦さんを覆っていた何かがするっと剝がれていく。
 今日という日まで、彼はいったいどれだけの後悔をひとりで背負ってきたのだろう。
 たくさんの葛藤があの本の中に詰まっているのを感じて、優弦さんのことを知りたいと思っていた。
 今までだましだまし気持ちを抑えてきたけれど……もう限界だった。
 暫くの沈黙の後、優弦さんは、そっと私の頬に手を添えて顔を上向かせた。
「全部嘘だと言ってももう、止められないよ」
「はい、止めないでください……」
「……本当に上手だね、俺の理性を壊すのが」
 優弦さんの美しい顔が近づいてきて、次の瞬間、深い口づけが降ってきた。
 溶けてしまいそうなほど優しいキスに、体中の力が抜けていく。
「世莉……、愛してる」
 キスの合間にそう囁かれて、胸が焦げる。
 いつのまにか体がベッドに沈んでいて、優弦さんに覆い被されていた。
 彼は愛しげなで私を見つめたまま、親指で優しく私の唇を撫でる。
「もう二度と、誰にも触れさせない」
「優弦さん……あっ、待っ……」
 さすが着物に着慣れているせいか、あっという間に帯を緩められていた。
 太ももを大きな手でそっと撫でられて、ふいに甘い声が漏れ出てしまいそうになる。
 優弦さんが好きだと認めたら……、心がとんでもなく軽くなった。
 今まで抑え込んでいた感情があふれ出て、なぜか涙に変わっていく。
 ……愛おしい。何があっても、彼のことを守りたいと思う。
「世莉……?」
 泣いている私を見て、心配したように優弦さんが頬を撫でてくる。
 私はふるふると首を横に振って、ちゃんと今の気持ちを言葉にしようと思った。
「優弦さんに気持ちを伝えられて、ホッとしたんです……」
「え……」
「一生、認めてはいけない感情だと思っていたので……」
 そこまで言うと、言葉を塞ぐように再び深いキスをされた。
 さっきよりもずっと強引で、激しく甘いキスに、脳が溶けそうになっていく。
 完全に発情状態になっているけれど、自分の感情と体が結びついているだけで、全然多幸感が違う。
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