全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
「仔犬系男子、ってやつ?」
「いえ、めちゃくちゃ大型犬ですよ。でも……かわいいかな」
好きだ好きだと毎日アピールされれば、なんだかそれに慣れてきていて。
彼からメッセージがくると、気持ちがやわらいでほっこりするのは事実だ。
「やっぱりさ、前の男とちゃんと切れたからだよね。“席”が空いていないあいだは誰に口説かれてもダメだもの」
「なんの席です?」
「郁海が愛する男の席よ」
ビールのジョッキを片手に、由華さんが得意げな感じで持論を展開し始める。
「私もそうなんだけど、その“席”はひとりしか座れないの。郁海の場合、最近まであの男が中途半端に半分腰かけていたからね。ちゃんと空席にしてこそ、次の人が座れるのよ」
由華さんの言葉には妙に納得してしまった。
駿二郎と付き合っていたときは、いつかは終わる恋だと自覚していたし、罪悪感や背徳感もそれなりにあった。
だけど、私の中ではほかのどの男性よりも駿二郎の存在が大きくて、唯一無二だった。
由華さんの言うとおり、駿二郎と縁が切れた今のほうが、世界が開けた気がする。
「いえ、めちゃくちゃ大型犬ですよ。でも……かわいいかな」
好きだ好きだと毎日アピールされれば、なんだかそれに慣れてきていて。
彼からメッセージがくると、気持ちがやわらいでほっこりするのは事実だ。
「やっぱりさ、前の男とちゃんと切れたからだよね。“席”が空いていないあいだは誰に口説かれてもダメだもの」
「なんの席です?」
「郁海が愛する男の席よ」
ビールのジョッキを片手に、由華さんが得意げな感じで持論を展開し始める。
「私もそうなんだけど、その“席”はひとりしか座れないの。郁海の場合、最近まであの男が中途半端に半分腰かけていたからね。ちゃんと空席にしてこそ、次の人が座れるのよ」
由華さんの言葉には妙に納得してしまった。
駿二郎と付き合っていたときは、いつかは終わる恋だと自覚していたし、罪悪感や背徳感もそれなりにあった。
だけど、私の中ではほかのどの男性よりも駿二郎の存在が大きくて、唯一無二だった。
由華さんの言うとおり、駿二郎と縁が切れた今のほうが、世界が開けた気がする。