全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
「いやでも、その席に魁が座るとはまだ決まってませんよ」
周りの人たちにお膳立てされたり、外堀を埋められるように物事が進んでいくのが、私はとても苦手だ。
他人から見れば私の決断は遅くてイライラするのかもしれないけれど、自分の事は自分で考えて決めたい。
恋愛に関しては特にそうで、二十五歳での婚約破棄がトラウマになっている。
母のせいにするつもりはないが、周りの意見に流されて婚約したのが間違いだったから。
「郁海さんはその年下くんを好きそうに見えますけど……違うんですか?」
話を聞いていた美知留ちゃんが不思議そうな表情をして私に尋ねた。
「好きなのかもしれないね。でもそれは男としてかどうか、そこがよくわからなくて」
「だったら付き合ってみたらいいんじゃないですか? 違うなって思ったら別れればいいし」
美知留ちゃんならきっと即断かな。
私があれやこれや考えてなぜ迷うのか、彼女には理解できないのだろう。
「私もね、普通に知り合った男性ならそう決断してるかも。付き合ってみないとわからないもんね。でも魁とは昔の綺麗な思い出があるから。別れたらそれまでなくなっちゃう気がして……」
「なるほど。だけどどっちつかずのままなのは、その年下くんがかわいそうですよ?」
「そっか……そうだよね」
周りの人たちにお膳立てされたり、外堀を埋められるように物事が進んでいくのが、私はとても苦手だ。
他人から見れば私の決断は遅くてイライラするのかもしれないけれど、自分の事は自分で考えて決めたい。
恋愛に関しては特にそうで、二十五歳での婚約破棄がトラウマになっている。
母のせいにするつもりはないが、周りの意見に流されて婚約したのが間違いだったから。
「郁海さんはその年下くんを好きそうに見えますけど……違うんですか?」
話を聞いていた美知留ちゃんが不思議そうな表情をして私に尋ねた。
「好きなのかもしれないね。でもそれは男としてかどうか、そこがよくわからなくて」
「だったら付き合ってみたらいいんじゃないですか? 違うなって思ったら別れればいいし」
美知留ちゃんならきっと即断かな。
私があれやこれや考えてなぜ迷うのか、彼女には理解できないのだろう。
「私もね、普通に知り合った男性ならそう決断してるかも。付き合ってみないとわからないもんね。でも魁とは昔の綺麗な思い出があるから。別れたらそれまでなくなっちゃう気がして……」
「なるほど。だけどどっちつかずのままなのは、その年下くんがかわいそうですよ?」
「そっか……そうだよね」