全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
***

 恋愛は順調、仕事も光明が見えてきて、停滞していた私の人生がようやく前に進みだす。
 そんな中、ある日突然、母が私のマンションにやってきた。


「連絡もなしに、いったいどうしたの?」


 母とはお正月に大喧嘩をしたきり会ってはいなかった。
 驚きながらも玄関扉を開けて問いかけてみたけれど、母は返事をせずに靴を脱いで中に入ってくる。
 無言かつ無表情ながら、怒っているようには見受けられなかった。


「電話してよ。留守だったかもしれないでしょ?」


 時計を見るともうすぐ二十時だ。もう夜だとはいえ、私が在宅しているとは限らないのに。
 もしも魁の家に立ち寄っていたら、母は今日空振りだった。


「電話じゃなくて、顔を見て直接話したいことがあったから来たの」

「今、お茶淹れるね」

「そんなのいいから座りなさい」


 母は長居をする気はないようだ。
 一方的に言うだけ言って帰るつもりだろうか。別に私はそれでもいいけれど。

 母がリビングのソファーに無遠慮に座ったのを見て、私も向かい側に腰をおろした。

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