全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
「十二歳だった子が十五年経って現れたら、立派な大人に成長していました。……私は浦島太郎になった気分です」

「じゃあ、今は二十七かぁ。いいじゃないの!」

「いいって……私より十歳も年下ですよ?」


 由華さんはおもしろがって冷やかすけれど、こちらもあれから十五年分の年齢を重ねているのだ。

 時の流れは誰しもに平等で。そして、残酷でもある。
 二十二歳だった私と、現在三十七歳の私を比べたとき、変化がないわけがない。


「ほかに若いメンズと知り合える機会なんてないでしょう? ていうか、イケメンなの?」

「写真、見ます?」


 先ほど送られてきた写真を画面に表示させ、スマホこと由華さんに渡せば、彼女の顔がパッとひときわ明るくなった。


「なによ! めちゃくちゃイケメンじゃないの!」

「……ははは」


 魁の瞳は、駿二郎とは対照的に切れ長だ。
 スッと通った鼻梁と、シャープな輪郭の持ち主で、整った顔だちをしている。
 昔から美形だったので、今現在イケメンなのは、私としては意外でもなんでもない。ただ、あのころと比べたらキリッと男らしくなった。

< 34 / 149 >

この作品をシェア

pagetop