全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
「当時、お母さんと妹で大喧嘩よ。妹は好きな人と結婚できないって毎日泣くし。それにうちのお母さんは……ああいう人だからさ。“順番”も大事だ、って」
「順番?」
「姉がまだなのに、妹が先に結婚するのはダメでしょって。古いよね」
母は時期尚早だと文句を言ってはいたが、妹が結婚すること自体は反対ではなかった。
妹が彼氏を家に連れてきてもニコニコしていたし、良い青年だと気に入っていた。
だけど母の中では、結婚は姉の私が先で妹が後、と決まっていたのだ。
母と妹が大喧嘩を繰り返して擦り合わせる中で、私を先に結婚させてしまおうという落としどころを見つけたらしい。
私の知らないところで、どうしてそんな交渉が成立していたのか意味がわからない。母も妹も勝手すぎる。
「私、お見合いさせられたのよ」
善は急げとばかりに、母が知り合いに頼んでいて。
気がついたときにはもう、お見合いがセッティングされたあとだった。
当然、私は勝手な振る舞いをする母に抗議したけれど、妹に泣きつかれたのもあって、そのお見合いを引き受けざるをえなかったのだ。
「三十一歳で、不動産会社勤務の男性だった。なんかよくわからないんだけど、由緒ある家柄の人だったみたい」
名家だとか、母はそういうのにも弱い。
打ってつけの相手だと考えて、その男性とのお見合いを私にゴリ押ししたのだろう。
「順番?」
「姉がまだなのに、妹が先に結婚するのはダメでしょって。古いよね」
母は時期尚早だと文句を言ってはいたが、妹が結婚すること自体は反対ではなかった。
妹が彼氏を家に連れてきてもニコニコしていたし、良い青年だと気に入っていた。
だけど母の中では、結婚は姉の私が先で妹が後、と決まっていたのだ。
母と妹が大喧嘩を繰り返して擦り合わせる中で、私を先に結婚させてしまおうという落としどころを見つけたらしい。
私の知らないところで、どうしてそんな交渉が成立していたのか意味がわからない。母も妹も勝手すぎる。
「私、お見合いさせられたのよ」
善は急げとばかりに、母が知り合いに頼んでいて。
気がついたときにはもう、お見合いがセッティングされたあとだった。
当然、私は勝手な振る舞いをする母に抗議したけれど、妹に泣きつかれたのもあって、そのお見合いを引き受けざるをえなかったのだ。
「三十一歳で、不動産会社勤務の男性だった。なんかよくわからないんだけど、由緒ある家柄の人だったみたい」
名家だとか、母はそういうのにも弱い。
打ってつけの相手だと考えて、その男性とのお見合いを私にゴリ押ししたのだろう。