離縁するはずが、冷徹御曹司は娶り落とした政略妻を甘く愛でる
『今日は素敵なもてなしをありがとう。妻も娘もうれしそうで私も幸せだよ』
『いえ、おもてなしするどころか、私もナジャーとルルとの時間を楽しんでしまって』
 
 アハメッドに感謝され、琴子ははにかみながら微笑む。
 
『君は中東の文化に詳しいようだけど、行ったことがあるのかい?』
『はい。父の仕事に同行して一度だけ。今回用意したお料理は、UAE大使の奥様に教えていただいたんです』
『そうなのかい? 駐日大使なら私もよく知っているよ!』
 
 琴子の言葉にアハメッドが目を輝かせる。
 
『失礼だが、君のお父様はなにを?』
『父は国会議員を務めております。亡くなった祖父が外務大臣をしていた関係で、幼い頃から各国の大使館に招待していただいたりお話する機会に恵まれて』
『なるほど、琴子は一ノ瀬議員の娘さんか! 一度お会いしたことがあるよ』
 
 ふたりのやりとりを見ながら彼女のすごさを思い知る。
 
 最初は琴子を、エリート政治家一族に生まれ小さな頃から贅沢な暮らしをして甘やかされて育った箱入り娘だと思っていた。
 
 しかし、実際の彼女はまったく違った。
 
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