離縁するはずが、冷徹御曹司は娶り落とした政略妻を甘く愛でる
「いえ、ここは自宅ですから。今日はサポートしてくださってありがとうございます」
「とんでもないです! 奥様のおかげであの気難しいアハメッド氏が心を開いてくれて。本当に驚きました」
「少しでもお役に立てたならよかったです」
 
 琴子からはにかむような笑みを向けられ、女性秘書の頬が赤らんだ。
 
 その様子を見てちょっとむっとする。
 
「手伝う」
 
 短く言ってふたりの間に入ると、秘書に信じられないという表情で見上げられた。
 
「副社長がお皿を洗うんですか!?」
「なにか問題があるか」
「いえ、ありませんが……」
 
 リビングやダイニングを片付けていたスタッフたちも、俺の行動に驚きざわついている。
 
 自分でもらしくないとわかってる。
 
 それでも琴子のためになにかしたいと思った。
 
「ここは俺がやるから、君は違う場所を」
「わかりました」
 
 秘書にそう言い、キッチンで琴子とふたりきりになる。
 
「なにをすればいい?」
 
 もしかしたら余計なことをするなと嫌がられるだろうか。
 
 少し不安になりながらたずねる。
 
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