再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)

そのおかげというわけではないけれど、祥もようやく決心がついた。

小さな子どもを抱える母は、くよくよと悩んでなんかいられない。

頭の中で今日のスケジュールを組み立てながら、ホットケーキを焼いて、洗濯機を回す。

「つむ、後でわかたけ文庫に行こうか」
「行く!」

まほちゃんたちいるかな、と嬉しそうにつむぎは言った。

夕方わかたけ文庫に行くと、双子ちゃんたちはいて、つむぎは大喜びで二人の元に駆け寄った。

具合が悪い日が続いたので、お友達と遊ぶのも久しぶりなのだ。

よかったよかったと、遠巻きに様子を見ていると、莉子さんがスススと寄ってきて、すまなそうに小声で言う。

「この前はごめんね。大丈夫だった?」

一瞬なんの話かと考えたけれど、健斗の膝の上でつむぎが寝ていたことだと思いついた。

あれが一週間ほど前の出来事か!

とんでもなく長い時間が過ぎたような気がする。怒涛の展開でした、と言いたいところだがやめておこう。

「大丈夫です。ご心配をおかけしてすみませんでした」

莉子さんは、もじもじしながら遠慮がちに訊ねた。

「余計なお世話なんだけど、田中先生とちゃんと話してみた?」
「ハイ」

「よかった。詳しいことはわからないけど、田中先生も特別な事情があるみたいだから…。何かあったらいつでも相談してね」

出会って日はまだ浅いけれど、莉子さんは姉のように寄り添ってくれる。

実際相談したいのはやまやまだが、凌介さんは健斗の同僚でもあるし、事情が複雑すぎて憚られる。

それに、祥なりに考え抜いて結論を出したのだ。

どんな状況でも前を向いて歩くのが祥の長所だ。立ち止まって迷うのは柄じゃない。

「ありがとうございます!」

ひときわ笑顔でそう答えた。


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