一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ
紗羽の横にいるのは、これまでほとんど会ったことがなかった異母兄一家だ。
父は大学生の頃に最初の結婚していたので、紗羽の母とは再婚だ。
最初の妻とは五年も経たずに別れてしまったと父が話してくれたことがあった。
学生結婚だったから、お互いにワガママを言い過ぎたと苦笑いしていたのを覚えている。
短い結婚期間に生まれたのが、母親違いの兄になる小椋孝二だ。
母が再婚した頃にはもう大学生になって家を出ていたと聞いている。
紗羽より二十も年上だったこともあって、これまであまり顔を合わせることはなかった。
確か、紗羽がまだ幼かった頃の孝二の結婚式以来かもしれない。
義理の兄妹として冠婚葬祭で顔を合わせるだけなのに、こんな悲しい再会になってしまった。
異母兄は大阪にある小椋電子の子会社の社長をしている。
通夜の席に妻の志保、そして子どもたちを連れて姿を見せた。
紗羽には理由がわからないが、父は孝二一家とは疎遠で普段から交流はなかったのだ。
そのせいか孝二は紗羽に目もくれず、イライラと会場を歩き回っている。
志保はただ黙って椅子に座っているだけだし、中学生の甥や姪は祖父が亡くなったというのに控室ではずっとスマートフォンをいじっていた。