一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ
「よくわからなくて……」
紗羽は正直に答えてしまう。
「ああ、緊張していたんだろう」
苦笑しながら、匡が紗羽の髪に触れてきた。
手櫛でそっと紗羽の顔にかかる乱れた髪を撫であげる。
(今、私……どんな顔をしているのかな)
上気した顔を見られるのは少し恥ずかしかった。
「でも……」
紗羽がゆっくりと匡の背に細い腕を回した。
固くて大きな背中。がっちりとりた肩から首のライン。そして紗羽を抱きしめる力強い腕。
徐々になぞるように細い指であちこちに触れていく。
「匡さんに触れているのね、私」
「ああ」
「大きな背中……」
指先が匡の背をそろそろと動く。
「悪い子だな」
「え?」
紗羽の方が驚いた。匡の目に、また欲望が燃え上がってきたのだ。
無意識のうちに、紗羽は匡を煽ってしまったらしい。
「無理させるかも……」
「あっ⁉」
翌朝、紗羽はなかなか起き上がることができなかった。
愛する人とふたりでベッドに横たわっている幸せなひととき。
気怠さの残る体の全部が、昨夜の愛の余韻に包まれていた。
(幸せ……匡さんに愛されて、とっても幸せ……)
ふたりの愛はこれから永遠に続くのだと、紗羽は固く信じていた。