最後の恋って、なに?~Happy wedding?~

 怒っているのか不信感なのか、複雑に眉を八の字にし私を呼びつける。今までの経験上、彼に呼ばれる時はたいてい良くない話だって悟ってしまう。

 またも会場の袖に今度は凪と2人。まわりに誰もいない事を見回し、私達は距離を置いて向き合った。

「話って……?」

 先に触れたのは私から。どうせまた茉莉愛ちゃんの事に違いないって、聞かなくても想像はつく。そしてそれは自身を苦しめるだけだと、理解しながら尋ねるのもどうかと思うけど。

「昨日、茉莉愛に何を言ったんだ?」

 ほらやっぱり。凪が口を開く時は大概、彼女の事ばかり。そんなに好きなのはわかったけど、聞かされる元カノ(こちら)の身にもなって欲しい。

「何も? 仕事の話をしただけ」

 ここまで来るといちいち気持ちに振り回されるのも癪に障るから、つい無愛想に冷たい反応で返す。

「何もって事はないだろ。本人から聞いたけど何を疑ってるんだ? あいつは真面目に仕事をしているんだぞ」
「凪には関係ないでしょ! 口を挟まないでっ」

 目を尖らせて苛立ちが見て取れる凪の態度に、私も更に口調が強くなる。
 そうすると向こうも反論して言い返してくる。

「関係ないって事はない。同じ職場の仲間として心配するのは当然だろ」
「《《職場の仲間》》? 凪は“自分の彼女”だから心配しているんでしょ。だからあの子の言葉を信じてる」
「そんなの当たり前だろ!」

 彼が放った本音が、胸に突き刺さる。
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