エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
 俺か溝口、どちらかが護衛対象と本宅に入り、隙を見て書斎などで証拠を探そうとしたが、ふたりとも滅多に本宅に行かない。

 密かにチャンスを窺っていたが、思いがけない誤算が生じた。

「しかし円城の息子は噂通りのクズだな。そんな男と結婚しないといけないなんて、紅葉様も可哀そうに……」

「……あぁ」

 いくら政略結婚とはいえ、両家の利害が一致した結婚だ。それなのにあの息子の紅葉様の扱いは目に余るものがあった。

 事前に紅葉様から事情は聞いていたが、あそこまでひどい扱いをされているとは夢にも思わず、最初は驚きのあまり言葉が出なかった。

「なぁ、静馬。俺も父さんを殺した犯人を憎んでいるし許せない。裁きを受けるべきだという思いは今も変わっていないけどさ、父さんも母さんも犯人を突き止めることよりも俺たちの幸せを願っていると思うんだ」

「なんだよ、藪から棒に」

 だが、兄の言うことは最もだ。両親は俺たちにたっぷりの愛情を注いでくれて、そして俺と兄の幸せを常に考えてくれていた。
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