エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
 そうだよね、護衛対象について少なからず私と久次さんの事情は聞いているはず。じゃあ話しても問題はないよね。

 たしかに久次さんたちは公家の末裔という肩書きを欲し、私たちは金銭的援助を求めていた。利害が一致してはいるけれど、立場は完全に向こうが上だ。

「私の家系は公家の末裔ですが、それまでです。なんの力もないんですよ。それに比べて久次さんたちには大きな負担を負わせてしまっています。母の治療のために作った借金の返済に父の治療費。それと私と父の生活費まで……。だから対等な立場にはなれないんです」

「紅葉様……」

 木嶋さんの瞳が切なげに大きく揺れるのを見て、泣きそうになる。

 最初から久次さんには逆らえない、どんな扱いをされたって仕方がないと言い聞かせてきた。だから今さら傷つくこともないのに、彼の顔を見たら本当は愛し愛される相手と結婚したいという夢を諦めきれずにいる自分がいることに気づかされてしまう。

 今さら私にはこの結婚を回避する方法も勇気もないくせに。
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