エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
 ふと由香里が以前、冗談交じりに言っていたことを思い出す。

 まさか本当に法を犯すようなことをしたとか? ううん、そんなはずがない。
 浮かんだ考えを必死に頭の中から払拭する。

「それとくれぐれも俺の婚約者として品位に欠ける行動だけはとるなよ。結婚してからも誰もが羨む妻になるんだ。いいな?」

「……はい」

 威圧的な態度に、バッグの中に入っているクッキーを出すか今さらながら躊躇してしまう。

 やっぱり作ってこなければよかっただろうか。差し出しても受け取ってくれない気がする。

「喉が渇いたな。おい、外にいる家政婦に珈琲を淹れてこいと伝えろ」

 命令口調で言われた彼のSPのうちのひとりが、小さく頭を下げて廊下に出ていった。

 もしかして普段から久次さんは護衛に当たってくれているSPに対し、こんな態度をとっているのだろうか。

 久次さんの残りのふたりのSPの様子を窺うと、予想は当たっているのか疲労の色が見える。
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