忘れさせ屋のドロップス
「帰りたくない!」
「帰らない選択肢あると思ってるの?」
ふふっと笑う母親に私は背筋が凍りついた。
「じゃあ警察行ってもいいのよ?どこの誰の家に監禁されてたのか調べてもらう?」
(監禁?何言ってるの……)
「やめて!そんなことされてない!私が頼んだの、困ってたから家に置いてくれたの!」
「誰に?」
言えるわけない。そんなことしたら、渚さんと遥に迷惑が……どうしよう。
「言わないなら、やっぱり警察ね」
「やめてよ!監禁なんかされてない、大事に……してくれてたの」
「世間知らずだものね、騙されてるのよ。大体、あなたみたいな子供の言うことと私の言うことどちらを警察は信じるのかしらね」
「私が勝手に家を出たの黙認してたクセに!」
「黙りなさい!有桜、いい加減にして!今まで誰と居たの?誰と一緒に住んでたの?!」
「……言わないっ、いいたくない!」
ーーーーもう帰りたくない。声も聞きたくない。顔も見たくない。地面にポタポタとシミができる。
「黙って出て行っておいて、近所の目だってあるのよ!恥かかせないで!」
そうか、そうだよね。近所の人たちに後ろ指さされて、慌てて探したんだ。男の人は平気で連れ込むくせに、近所の目は気にする。
どうでもいいくせに。
世間体や小間使いにする為だけに、私を家に閉じ込める。