忘れさせ屋のドロップス
艶やかな茶色の髪が耳下で揺れる。
誰もが振り返るほどの、端麗な容姿、俺には正直勿体無い位のイイ女。俺は未だに渚に見つめられると緊張する。本人に言ったこともないし、顔に出さないようにしてるけど。
そんな渚の手元には、彼女に似つかわしくない焼酎ロック。こういうギャップも俺にとっては、魅力的でそそられる。
「お、おまたせ」
ーーーー2週間、いや3週間ぶりか。
馴染みの居酒屋で、渚はすでに二杯目の焼酎ロックを飲み干すところだった。カウンターの下の荷物置きに鞄と上着を放り投げて、いつものように隣に座った。
「はい、ハイボールロック」
どうも、とタオルハチマキ姿の大将からグラスを受け取る。渚が既に注文してくれていたのだろう。
俺の好物の鰹のたたきと、出汁巻きも並べられる。渚が黙って、枝豆の器を俺との間にコトンと置いた。
手を合わせて早速、口に放り込む。俺の、目の前の食事が8割ほどなくなった頃だった。
「……ごめん、スルーして」
「……うん。いや、大丈夫。その、渚忙しいし、……慣れてるし」
いや、慣れてるわけないだろ、絶対に。いつだってすぐ返事が欲しい。会いたい。
「秋介」
ーーーー来た!こんないきなり来るもんなのか?十年付き合っての別れ話って。
俺はハイボールを流し込んだ。手を挙げて同じものを注文する。もっと酔わなきゃ最後まで聞けそうもない。
渚はこちらを向いて、じっと俺の瞳をみた。
「結婚、できない」
「……は、い」
ーーーー頭は真っ白。いや、俺は息すらできてんのか。心臓はバクバクと音を立てるのを通り越して凍りついたように静かになった。
「……いまは」
「え!」
大声を出して渚を見た俺を、渚がクスクスと笑った。
「秋介の顔!」
「なぎさー……」
情けない声が漏れた。
「いまはってことはさ、いずれって思っていいんだよな?」
誰もが振り返るほどの、端麗な容姿、俺には正直勿体無い位のイイ女。俺は未だに渚に見つめられると緊張する。本人に言ったこともないし、顔に出さないようにしてるけど。
そんな渚の手元には、彼女に似つかわしくない焼酎ロック。こういうギャップも俺にとっては、魅力的でそそられる。
「お、おまたせ」
ーーーー2週間、いや3週間ぶりか。
馴染みの居酒屋で、渚はすでに二杯目の焼酎ロックを飲み干すところだった。カウンターの下の荷物置きに鞄と上着を放り投げて、いつものように隣に座った。
「はい、ハイボールロック」
どうも、とタオルハチマキ姿の大将からグラスを受け取る。渚が既に注文してくれていたのだろう。
俺の好物の鰹のたたきと、出汁巻きも並べられる。渚が黙って、枝豆の器を俺との間にコトンと置いた。
手を合わせて早速、口に放り込む。俺の、目の前の食事が8割ほどなくなった頃だった。
「……ごめん、スルーして」
「……うん。いや、大丈夫。その、渚忙しいし、……慣れてるし」
いや、慣れてるわけないだろ、絶対に。いつだってすぐ返事が欲しい。会いたい。
「秋介」
ーーーー来た!こんないきなり来るもんなのか?十年付き合っての別れ話って。
俺はハイボールを流し込んだ。手を挙げて同じものを注文する。もっと酔わなきゃ最後まで聞けそうもない。
渚はこちらを向いて、じっと俺の瞳をみた。
「結婚、できない」
「……は、い」
ーーーー頭は真っ白。いや、俺は息すらできてんのか。心臓はバクバクと音を立てるのを通り越して凍りついたように静かになった。
「……いまは」
「え!」
大声を出して渚を見た俺を、渚がクスクスと笑った。
「秋介の顔!」
「なぎさー……」
情けない声が漏れた。
「いまはってことはさ、いずれって思っていいんだよな?」