冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす
「はい。あの、キスだけ……しませんか」
「止まれなくなりそうだ」

そう言いながら、豊さんは私に覆いかぶさるようにキスをしてくる。私は彼と向き合うように身体を反転させた。背に腕を巻き付け、背伸びしてキスに応えた。
たっぷりと味わっても足りない。もっともっと欲しくなってしまう。

「明日海……好きだ」

唇をわずかに離してささやく豊さん。身も心もとろとろにとろけてしまいそうだった。

「始まりがああいう形だったからこそ、きちんとしたい。きみを抱くのは、望くんのことが片付いてからにする」
「はい。待っています」

豊さんの胸に顔をうずめ、幸福で眩暈がしそうだった。キスを終えても離れがたく、ふたりでベッドに腰掛け小さな窓から仙台の街の灯りを眺めた。

「豊さん、最近香水はつけないんですか?」
「香水?」
「あの……最初のとき、あなたの香水の香りがして……それを覚えているので」

言いながら恥ずかしくてうつむいてしまった。豊さんがふっと笑い答える。

「きみと未来と同居を始める前に使うのをやめた」
「そうだったんですか?」
「子どもには匂いがきついかと思って。余計な気遣いだったか?」

彼の香りは本当にささやかなものだったけれど、その思いやりに胸がいっぱいになった。

「豊さん、本当に見えないところで気を遣ってくれているんですね。すごく優しい」
「俺は未来ときみに好かれたかっただけだよ」

そう言ってそっと微笑む豊さん。私は彼の肩に頭を預けて、ふふと笑った。

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