冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす
週末は朝から隣県の公園に出かけようと決まった。行ったことはないけれど、親子連れに人気の公園だそうだ。
私は楽しみに準備をした。着替えは何組いるだろう。タオルをいくつか持って行って、現地で濡らして汗を拭いた方がいいかもしれない。日中はまだ暑い日も多いのだ。
お弁当を作ろうか、どこかで外食をしようか。
しかし、前日になって天気予報が大きく変わった。明日は大雨だという。朝の天気予報を見ながら、今夜豊さんに行先について相談しようと考える。屋内で遊べる遊具施設や、体験施設も多いけれど、未来の年齢で楽しめるのはどういったところだろう。

「未来、どこに行きたい?」

未来は私を見たけれど、無視してぱたぱた走っていく。キッチンのベビーゲートの前でぺたんと座り、何やらあうあうお喋りしながら、おもちゃをゲートの柵の隙間に押し込んでいる。最近気に入りの遊びだ。

「どこでもいいよね。ママと……パパと一緒なら」

自分で言って、盛大に照れてしまった。否定しておいて、拒絶しておいて、豊さんをパパだなんて。私はやっぱり浮かれてしまっている。こんなことじゃいけないのに。

すると、スマホがメッセージで振動した。

「あれ、作田くんだ」

メッセージアプリを開いて、目に飛び込んできた文言にぎょっとした。

【望を見かけたという情報があります】

私はスマホの画面を凝視して凍り付いた。望を? もう二年も行方がわからないあの子がどこにいたというのだろう。
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