君の甘さには敵わない。
「…はい」


朝樹の声は低く掠れていて、何を言われるかなんて簡単に検討がついてしまう。


「お前さ、俺の彼女って自覚あんの?いちいち兄貴達と瑛人の言う事に動揺してさ」


ゆっくりと振り返った彼の目は真っ直ぐに私を見つめていて、その揺らがない瞳に気圧される。


「だ、だってそれは、」


「何で俺が日中外に出ないか、頭の鈍いお前でも分かんだろ」


言い訳をしようと口を開いたら正論を吐かれ、うっ、と、言葉に詰まって俯いた。



私が他の男性達の台詞に少なからずときめいたのは事実で、だけど朝樹にとっては嫉妬の対象でしかない、そんなの私が1番分かっているはずなのに。


「七瀬は他の男に気に入られてるし、俺らの関係は秘密にしてるから仕方ない。…でも俺は、お前と兄貴達のイチャつきぶりにいちいち嫉妬するから耐えられねーんだって」


(っ……)


本当は颯さんの何倍も嫉妬をしやすい彼は、夜に密会を重ねていた時も同じような事を言っていた。


だからこそ朝樹は日中は1歩も部屋から出なかったわけで、



その言葉の重みが、今になってようやく理解出来た。



「…ごめんなさい」


上目遣いで朝樹の事を見上げると、彼の両目は淡い光を放っていて。
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