花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
「納得していない顔ですね。藤森さん、置き傘くらいしておいた方がいいですよ」
私の手に差していた傘を握らせると、岡本さんは走ってこの場を去っていく。
「ちょ……岡本さん!」
彼を呼び止めようとしたけれど、そのまま行ってしまった。
「行っちゃったよ。風邪引かないかな?」
偏屈だけど、優しい……人?
いや、まだたった数回の会話で判断はできない。
うーん、でもなんかわかりにくい人。
首を傾げながら自問自答する。
オフィスのある方をじっと見ていたら、また浩ちゃんから電話がかかってきた。
「はい」
ハーッと溜め息をついて電話に出たら、従兄に《お前、遅い!》と開口一番に怒られた。
「今向かってます!」
喧嘩腰で言って電話をすぐに切ると、早足で正門に向かった。
正門の近くに真っ赤なイタリア製の高級スポーツカーが停まっていて目を引く。
あれか。
またハーッと盛大な溜め息をついて、傘を閉じるとその車の助手席を開けて乗り込んだ。
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