花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
その言葉を聞いて目頭が熱くなった。
「おじいちゃん……いろいろ急かしすぎ」
蓮にプロポーズされたわけでもないのに、勝手な遺言残して……。
「年寄りってのはせっかちなんだよ」
浩ちゃんがハハッと笑うが、私は涙が一気に込み上げてきて子供のように泣いてしまった。
「おじいちゃんが……一番……過保護」
しゃくり上げながらそんなことを口にする私の肩に手を回し、蓮が抱き寄せる。
「そうだね。今日はいっぱい泣いておじいさんを天国に送ってあげよう」
「……うん」
その日は蓮の胸を借りてたくさん泣いた。

葬儀の次の日には出勤した。
研究員のみんなはいつもと変わらず、祖父のことには触れなかった。
きっと蓮からそういうお達しがあったのだろう。
それか、アストルム製薬のニュースでみんな大騒ぎだったせいかもしれない。
今日出勤したら、ネットで私がラドクリフに見せられたギニアでの人体実験の様子……白いテントの中で行われている投薬の様子や、草原に積み上げられた死体などの写真が出回っていた。
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