時価数億円の血脈
「この症状は徐々に血が通わなくなった先から壊死して、死ぬのではない。瞼を閉じている時に徐々に身体が固まりはじめ、そして眠るように意識がなくなり亡くなる。世界でも三人ほどしか症例がない。もう二人は死んでしまっていて、薬もまだ開発行えていない」
容赦ない死という言葉が出てきて、身体が震えた。
そうか、私は死ぬのか。あっさり。
貯金は仕事でためたものがあり、死ぬまでには足りるだろう。
「ちなみにどれくらいで死ぬの?」
「確定したことはいえないが、持って半年だろう」
半年。半年もあるのか、半年しかないのか。
初めの医師はいたわるように優しい声をかけた。
「もし、よかったらなんだけどね、今後の症状で、試薬やら試して改善されるかどうかを見たいんだ。だから、もしよければなんだけど彼の診療所に住まないか」
「は?」
「家族とかもいないということだし、一人で倒れたときどうかと思って。市風君はいいみたいなんだけど」