ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 離宮の正面の花壇には、これでもかと季節の花が咲き誇っている。そして、忙しそうに多数の使用人が行ったり来たりして、それぞれの仕事にいそしんでいた。

「――ヴィニーシアでございます」

 王太后イリアの前に出て、シアは頭を下げた。本当は、ヴィニーシアとも名乗りたくなかったけれどしかたない。家名は捨てたので、名前の方だけ名乗らせてもらった。
 選んだドレスは、飾り気のないもの。一応聖女ということになっているので、あまり仰々しくしない方がいいと判断した。

「そなたの方から、挨拶に来るべきではないのか?」
「ご挨拶が遅れまして、申し訳ございません。聖女としての役目を果たすべく、ひとりで暮らしておりまして、お帰りに気づかず……」

 マルがいるからひとりではないし、聖女としての役目を果たすだけではなく、街にポーションを売りに行っているが、そこについては口をつぐんでおく。
 髪の色と、目の色を変えてしまえば、シアがどこにいるのかなんて誰も気にしない。

「ひとりで?」
「はい。離宮の奥で祈りを捧げております。瘴気が発生したら、浄化にも赴くことになっています」

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