ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 聖女だったというのもあながち嘘ではないのかもしれないとヨアキムは少しばかり、ヴィニーシアに対する見方を変えたようだった。

「――そうか」
「ああ、そうそう。それともうひとつ」

 我が国の魔物の出現率は減っているらしいというヨアキムの報告に、エドは怪訝な顔になった。
 冒険者組合でも同じような話は聞いていたが、全国的にそうだったというのか。

「なにか、特別なことはしていたか?」
「いえ、ヴィニーシア様がこの国に来てからですね――まあ、偶然でしょう」

 だって、こちらは彼女を聖女として扱ってはいない。だから、我が国の魔物の出現率が減るはずはないのだ。

「さて、今日も打ち合いますか?」

 自分の考えに沈み込みそうになったエドを、ヨアキムはひょいと押しやった。
 魔術師ではあるが、剣を持たせてもヨアキムはなかなか強い。
 考えがまとまらない。こういう時は手を動かすに限る。エドは訓練用の剣を二本手に取ると、一本をヨアキムの方に放り投げた。

「ここでの稽古を終えたら、ベラの店に行くぞ」

 今日は、シアが納品しに来る日である。シアの顔を見て話をしたら、いい気分転換になるだろう。

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