ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
「そのために、昨日から予定を前倒しにしていたんですよね――まあ、かまいませんが」

 深入りするな、と言外に忠告してくる。そんなこと、できるはずないのに。

 * * *



 クッキーを手に、シアはベラのポーション屋を訪れた。毎回の納品日である。

「おや、いらっしゃい」
「ポーション、足りてる?」
「あんたのポーションは、効きがいいからね。何本あってもいいくらい。もうちょっと納品数を増やして――」
「それはちょっと無理」

 だろうね、と笑ってベラはシア印のポーションが置かれている棚に指を向けた。その棚に残っているのは一本だけ。

「でも、あんたのポーションのおかげで無事に帰ってこられる冒険者が増えたのはありがたいことだよ」
「私のポーションで、けっこな重傷も治せるそうですね」

 シアの作るポーションは、傷口は瞬時に塞ぐことができる。深手の傷まで塞ぐことができるが、失った手足を生やすようなことはできない。
 いや、そのレベルも作ることはできるのだが、そのレベルのポーションはほいほい市場に流してはいけないものだということくらい、シアもちゃんとわかっている。

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