ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
「悪い、ええと。傷用の回復ポーションが欲しい。シアというポーション職人が作ったものは納品してるか」
「あら、お買い上げありがとうございます」

 シアがにっこりすると、相手は疑問を覚えたように首を傾げた。
 それはそうだ、シアはまだ名乗っていない。

「私のポーション、目の前で買っていただくの初めてなんですよ。どうぞ」

 銀貨四枚と銅貨五枚。この店で扱っているポーションではおそらく最高値。シアが瓶を渡すと、相手はじっとそれを見ていた。
 ベラが作ってくれた新しいラベルを貼ったばかり。これは、シアのポーションが名指しで買ってくれる人が増えてきたという証である。

「……ラベルがついたのか」
「えへへ」

 照れくさくなってあいまいな笑みを浮かべたシアの手の甲に乗ってきたマルは、前足でバンバンと叩いてきた。どうやら、若い男相手にデレデレするなと言いたいらしい。

(べ、別にデレデレしてるわけじゃないもんっ)

 相手が誰であっても、シアのポーションを目の前で認めてもらえたら嬉しい。
 国にいた頃は、聖女なんて名ばかり。シアのポーションを毎朝取りに来たくせに、神官達はポーションの評判すら教えてくれなかった。

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